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第168話

五年前の少年っぽい男と比べて、今の弘次は堂々として、目を逸らすことのできないほど格好良くなった。

「弘次」

皆が立ち上がって、彼に挨拶をした。

弘次は微笑みながら頷いて、部屋中を見回したが、見たい人はいなくて、少し心を引いてしまった。

あの子は、今夜は来ないかもしれないな。

でも、瑛介はまだ現れていない。彼女の今の状況では、瑛介と一緒に来るはずだ。

考えているうちに、背後に柔らかい声が聞こえてくる。

「あのう.......」

「奈々!」

女の言葉がまだ終わらないうちに、個室で誰かが奈々の名前を叫んだ。奈々もこれで分かった。こここそ自分が探していた場所だ。

弘次は振り返って、セクシーな服を着た奈々を見て、頷いた。

奈々は目を見張った。

目の前の男の親しい眉と目を見て、すぐにわかった。

「弘次君??」

奈々は驚いて聞いた。弘次は微笑みながら頷いて、同時に手を上げてメガネを押さえて挨拶した。「こんにちは」

奈々と一緒に来た女性が、弘次の紳士的な姿を見て、驚いた。

なんと格好いい人だ。

奈々もしばらくして、自ら手を差し伸べた。

「久しぶりね。大きく変わっていて、ほとんど知らなかったわ」

それを聞いて、弘次は呆れて、メガネ越しの瞳に一瞬驚きを隠せずにつぶやいた。「大きく変わったか?」

自分は他人の意見を気にする人ではないが、先ほど自分を見てすべての人の表情が激変したようだ。そしてこの瑛介の女神と呼ばれる女もそうだった。

ここ数年で、自分は確かに変わったのだ。

しかし、そんなに変わったのなら、あの子が自分を見る時にどうして反応がなかったのだろう?

弘次は昨夜、弥生の前で現れた時、彼女の目と表情がとても落ち着いたのを覚えている。

彼女が自分の変化に気づかなかったのかもしれない。あるいは.......彼女は自分のことを気にしなかったからかもしれない。

そう考えると、弘次の瞳がしきりに暗くなり、薄い唇を一直線に押さえた。

「確かに久しぶりだね」

そう言って、彼はやっと奈々の手を軽く握って、すぐ離した。

奈々は少し呆れて、相手が手を引っ込めたのを見ていた。

勘違いだろうか?

弘次はなんか自分のことを嫌がっているようだ。

しかも先ほど彼の変化について言った時、彼は機嫌が悪くなったようだ?どうして?

奈々さんの友達がその時提案
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